明日よりは春菜摘まむと標めし野に
昨日も今日も雪は降りつつ
- 歌の意味
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明日からは春菜を摘もうと、しるしを付けて取っておいた野に、昨日も今日も雪は降り続いている。
- 鑑賞
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巻第八 春雑歌 1427
詞書は前の歌に続き「山部宿禰赤人の歌四首」
明日から若菜を摘もうと楽しみにしてしるしを付けておいた野に、昨日も今日も雪が降り続いていると詠む歌である。春を待ちわびる心と、なかなか去らない冬へのもどかしさがにじむ。
作者の山部赤人は、奈良時代前期の宮廷歌人である。清らかな叙景歌にすぐれ、後世、柿本人麻呂と並び称された。
この歌は『新古今和歌集』春歌上に「明日からは若菜摘まむと標めし野に昨日も今日も雪は降りつつ」の形で入集している。
初句「明日よりは」は、これからの予定を示し、待ち遠しい思いを込める。本巻の第千五百七十一首も「明日よりは」の句で黄葉への期待を詠み、春と秋とで明日を待つ心が響き合う。
二句「春菜摘まむと」は、意志の「む」で、若菜を摘もうとする心づもりを表す。本巻の第千四百二十一首、第千四百四十二首にも「春菜摘む」の語がみえる。
三句「標めし野に」の「標む」は、しるしを付けて自分の場所として確保することである。
四句「昨日も今日も」は、「も」を重ねて、雪が何日も続いていることを示す。初句の「明日」と響き合い、昨日、今日、明日という時の流れを一首に収めている。
結句「雪は降りつつ」は、継続の「つつ」で止め、雪がなお降り続く余情を残している。
しむ:しるしを付けて自分の場所として確保する
はるな:春に摘む若菜
- 作者
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山部赤人
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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我が背子に見せむと思ひし梅の花 それとも見えず雪の降れれば
- 次の歌
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去年の春逢へりし君に恋ひにてし 桜の花は迎へけらしも