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霞立つ春日の里の梅の花
山のあらしに散りこすなゆめ

歌の意味
霞の立つ春日の里の梅の花よ、山から吹き下ろす嵐に、決して散ってくれるな。
鑑賞
巻第八 春雑歌 1437

詞書は前の歌に続き「大伴宿禰村上の梅の歌二首」
 霞たなびく春日の里に咲く梅の花に向かい、山から吹き下ろす嵐に決して散らないでほしいと願う歌である。咲いたばかりの梅をいとおしむ心が、強い禁止の言葉に込められている。
 作者の大伴村上は、大伴氏の一族で、奈良時代の官人である。

 初句「霞立つ」は、「春日」にかかる枕詞である。
 二句「春日の里の」は、奈良の春日山のふもとの里である。
 三句「梅の花」は呼びかけで、ここで句切れとなる。初句から三句までは次歌の第千四百三十八首とまったく同じで、同じ春日の梅を二人の大伴氏が詠み継いでいる。
 四句「山のあらしに」は、山から激しく吹き下ろす風に、の意である。
 結句「散りこすなゆめ」は、希望の「こす」に禁止の「な」を重ね、副詞「ゆめ」で強めて、決して散ってくれるなと願う。同じ結句は本巻の第千五百六十首、第千六百五十七首にもみえる。

あらし:山から激しく吹き下ろす風
作者
大伴村上
出典
万葉集
前の歌
含めりと言ひし梅が枝今朝降りし 沫雪にあひて咲きぬらむかも
次の歌
霞立つ春日の里の梅の花 花に問はむと我が思はなくに