霞立つ春日の里の梅の花
花に問はむと我が思はなくに
- 歌の意味
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霞の立つ春日の里の梅の花よ。その花だけを目当てに訪ねようなどと、私は思ってはいないのに。
- 鑑賞
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巻第八 春雑歌 1438
詞書「大伴宿禰駿河麻呂の歌一首」
春日の里の梅の花に呼びかけ、花だけを目当てに訪ねようとは思っていないと詠む歌である。梅の花を美しい娘にたとえ、一時の浮ついた気持ちで通うのではないという真心を表したものと解されている。
作者の大伴駿河麻呂は、大伴御行の孫とされる奈良時代の官人である。大伴坂上郎女の娘を妻としたと伝えられ、のちに陸奥按察使などを務めた。
初句「霞立つ」は、「春日」にかかる枕詞である。
二句「春日の里の」は、奈良の春日山のふもとの里である。
三句「梅の花」は呼びかけで、ここで句切れとなる。初句から三句までは前歌の第千四百三十七首と同じで、前歌が花の散るのを惜しんだのに対し、この歌は花を恋の相手に見立てている。
四句「花に問はむと」は、花を目当てに訪ねようとの意である。三句の「梅の花」を「花に」と受けて、同じ語を重ねている。
結句「我が思はなくに」は、「なくに」で、思ってはいないのにと打ち消しつつ余情を残す。表向きの花見ではなく、心から相手を思う気持ちであることを訴えている。
とふ:訪ねる、訪れる
- 作者
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大伴駿河麻呂
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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霞立つ春日の里の梅の花 山のあらしに散りこすなゆめ
- 次の歌
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時は今は春になりぬとみ雪降る 遠山の辺に霞たなびく