春雨のしくしく降るに高円の
山の桜はいかにかあるらむ
- 歌の意味
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春雨がしきりに降り続いているが、高円の山の桜はどうなっているだろうか。
- 鑑賞
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巻第八 春雑歌 1440
詞書「河辺朝臣東人の歌一首」
春雨が降り続く中、高円山の桜が散ってはいないかと気づかう歌である。雨を眺めながら、見えない山の桜に思いを寄せる心が素直に表されている。
作者の河辺東人は、奈良時代の官人で、のちに石見守などを務めた。
初句「春雨の」は、一首の状況となる春の雨を示す。
二句「しくしく降るに」は、しきりに降り続くのにの意である。「しくしく」は重ねて絶え間ないさまを表し、本巻の第千六百五十九首では降り積もる雪のさまを恋心にたとえる語として用いられている。
三句「高円の」は、奈良市東部の高円山で、奈良の人々が花や黄葉を楽しんだ地である。
四句「山の桜は」は、思いやる対象を示す。
結句「いかにかあるらむ」は、係助詞「か」と現在推量の「らむ」の係り結びで、今ごろどうしているだろうかと案じる心を表す。
たかまと:奈良市東部の高円山
- 作者
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河辺東人
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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時は今は春になりぬとみ雪降る 遠山の辺に霞たなびく
- 次の歌
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うち霧らひ雪は降りつつしかすがに 我家の苑に鴬鳴くも