うち霧らひ雪は降りつつしかすがに
我家の苑に鴬鳴くも
- 歌の意味
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あたり一面をかすませて雪は降り続いている。それでもやはり、我が家の庭では鴬が鳴いていることだ。
- 鑑賞
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巻第八 春雑歌 1441
詞書「大伴宿禰家持の鴬の歌一首」
あたりを曇らせて雪が降り続く中でも、我が家の庭では鴬が鳴いていると詠む歌である。冬のさなかに春の兆しを聞き取った喜びが、「しかすがに」の一語を軸に表されている。
作者の大伴家持は、大伴旅人の子で、奈良時代の官人である。中納言に至り、万葉集の編纂に深く関わったとされ、集中最も多くの歌を残す。
なお本文の初句は「うち霧らひ」とあり、読み仮名の行の「うちきらし」と一致しない。ここでは本文の表記に従う。
初句「うち霧らひ」の「うち」は接頭語で、雪があたり一面をかすませるさまを表す。
二句「雪は降りつつ」は、継続の「つつ」で、雪がなお降り続いていることを示す。本巻の第千四百二十七首の結句と同じ言葉で、そちらは春を待つもどかしさ、この歌は雪の中に春を見いだす喜びと、同じ景の受けとめ方が対照をなしている。
三句「しかすがに」は、そうはいってもやはりの意で、上の句の冬景色から下の句の春の声へと転じる要となる。
四句「我家の苑に」は、我が家の庭である。
結句「鴬鳴くも」は、詠嘆の「も」で、雪の中に響く鴬の声への感動を表している。鴬は本巻の第千四百三十一首、第千四百四十三首にも詠まれている。
きらふ:霧や雪で一面がかすむ
わぎへ:我が家
その:草木を植えた庭
- 作者
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大伴家持
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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春雨のしくしく降るに高円の 山の桜はいかにかあるらむ
- 次の歌
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難波辺に人の行ければ後れ居て 春菜摘む子を見るが悲しさ