春の野にあさる雉の妻恋ひに
おのがあたりを人に知れつつ
- 歌の意味
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春の野で餌をあさる雉は、妻を恋い慕って鳴くために、自分の居場所を人に知らせてしまっている。
- 鑑賞
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巻第八 春雑歌 1446
詞書「大伴宿禰家持の春の雉の歌一首」
春の野で餌をあさる雉が、妻を恋うて鳴くために、かえって自分の居場所を人に知られてしまうと詠む歌である。恋ゆえに身を隠しきれない雉の姿に、恋心は人に知られてしまうものだという人の心を重ねている。
作者の大伴家持は、大伴旅人の子で、奈良時代の官人である。中納言に至り、万葉集の編纂に深く関わったとされ、集中最も多くの歌を残す。
初句「春の野に」は、本巻の第千四百二十四首と同じ句で、春の野を舞台とする歌が巻中に連なっている。
二句「あさる雉の」は、餌を探し求める雉である。
三句「妻恋ひに」は、妻を恋い慕うためにの意で、雉が鳴く理由を示す。本巻の第千五百六十一首では妻を呼ぶ鹿の声が詠まれ、春の雉と秋の鹿とで妻恋いの声が対応している。
四句「おのがあたりを」は、自分のいる所を、の意である。
結句「人に知れつつ」は、人に知らせながら、の意で、継続の「つつ」で止めて、鳴き続ける雉の姿を余情として残している。
あさる:餌を探し求める
きぎし:雉
- 作者
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大伴家持
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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風交り雪は降るとも実にならぬ 我家の梅を花に散らすな
- 次の歌
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世の常に聞けば苦しき呼子鳥 声なつかしき時にはなりぬ