たまきはる命に向ひ恋ひむゆは
君が御船の楫柄にもが
- 歌の意味
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命がけであなたを恋い慕っているよりは、いっそあなたの乗る御船の楫の柄になりたいものだ。
- 鑑賞
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巻第八 春相聞 1455
詞書は前の歌に続き「天平五年癸酉の春閏三月、笠朝臣金村の入唐使に贈る歌一首[并せて短歌]」の反歌
命をかけて恋い慕って待つくらいなら、いっそ旅立つ人の船の楫の柄になって、ともに海を渡りたいと願う歌である。別れのつらさを、船の一部になってでも離れたくないという大胆な願望で表している。長歌の第千四百五十三首に添えられた二首目の反歌である。
作者の笠金村は奈良時代前期の宮廷歌人で、天皇の行幸に従って多くの歌を詠んだ。
初句「たまきはる」は、「命」にかかる枕詞である。
二句「命に向ひ」は、命がけでの意で、恋の思いの激しさを示す。
三句「恋ひむゆは」の「ゆは」は比較を表し、恋い慕っているよりはの意である。
四句「君が御船の」は、遣唐使の乗る船を敬って「御船」という。前歌が遠ざかる船を見送る側の嘆きであったのに対し、この歌は船そのものに寄り添おうとする心を詠み、二首で見送る者の思いを描き分けている。
結句「楫柄にもが」は、願望の「もが」で、楫の柄であればよいのにと願う。
かぢから:船を漕ぐ楫の柄
- 作者
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笠金村
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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波の上ゆ見ゆる小島の雲隠り あな息づかし相別れなば
- 次の歌
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この花の一節のうちに百種の 言ぞ隠れるおほろかにすな