我が君に戯奴は恋ふらし賜りたる
茅花を食めどいや痩せに痩す
- 歌の意味
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ご主人様に、この私めは恋をしているらしい。いただいた茅花を食べても、ますます痩せに痩せていく。
- 鑑賞
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巻第八 春相聞 1462
詞書「大伴家持の贈り和ふる歌二首」
紀女郎の第千四百六十首に答え、いただいた茅花を食べても、恋わずらいのためにかえって痩せていくばかりだと返した歌である。相手が呼んだ「戯奴」という呼び名をそのまま受け入れて自らを卑下しつつ、恋心を訴える、機知に富んだ返しとなっている。
作者の大伴家持は、大伴旅人の子で、奈良時代の官人である。中納言に至り、万葉集の編纂に深く関わったとされ、集中最も多くの歌を残す。
初句「我が君に」は、主人である紀女郎を指す。紀女郎が自らを「君」と呼んだのを受けている。
二句「戯奴は恋ふらし」は、推定の「らし」で、私めは恋をしているらしいと、自分のことを他人事のように言ってとぼけている。ここで句切れとなる。
三句「賜りたる」は、いただいたの意で、へりくだった言い方である。
四句「茅花を食めど」は、逆接の「ど」で、茅花を食べてもの意である。紀女郎の「食して肥えませ」を受けている。
結句「いや痩せに痩す」は、「痩す」を重ねて、ますます痩せていくと大げさに言い、「肥えませ」という相手の言葉を逆手にとっている。
たばる:いただく
はむ:食べる
わけ:目下の者を親しんで呼ぶ語、ここでは自らをへりくだって言う
- 作者
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大伴家持
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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昼は咲き夜は恋ひ寝る合歓木の花 君のみ見めや戯奴さへに見よ
- 次の歌
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我妹子が形見の合歓木は花のみに 咲きてけだしく実にならじかも