霍公鳥いたくな鳴きそ汝が声を
五月の玉にあへ貫くまでに
- 歌の意味
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ほととぎすよ、そんなにひどく鳴かないでおくれ。おまえの声を、五月の薬玉に交えて貫き通すまでは。
- 鑑賞
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巻第八 夏雑歌 1465
詞書「藤原夫人の歌一首[明日香清御原宮に天の下知らしめしし天皇の夫人なり。字を大原大刀自といふ。すなはち新田部皇子の母なり]」
ほととぎすに、今はそんなに鳴き尽くさないで、その声を五月の薬玉に交えて貫く時まで取っておいてほしいと呼びかけた歌である。形のない鳥の声を、花や香草とともに糸に貫いて玉にするという、美しく大胆な発想が印象的である。夏雑歌の巻頭に置かれている。
作者の藤原五百重娘は、藤原鎌足の娘で、天武天皇の夫人となり、新田部皇子を生んだ。題詞の注にあるとおり、大原大刀自とも呼ばれた。
初句「霍公鳥」は呼びかけで、夏の到来を告げる鳥として夏雑歌の冒頭に据えられている。
二句「いたくな鳴きそ」は、「な〜そ」の禁止表現で、ひどく鳴かないでくれと願う。ここで句切れとなる。同じ句は本巻の第千四百十九首、第千四百八十四首にもみえる。
三句「汝が声を」は、ほととぎすの声そのものを、玉に貫く対象としている。
四句「五月の玉に」は、五月五日の節句に作る薬玉である。玉に貫くことは本巻の第千四百七十八首、第千四百九十首、第千五百二首などでも詠まれ、夏の歌の重要な題材となっている。
結句「あへ貫くまでに」は、交えて貫き通すまでの意で、五月の節句を待ちわびる心を表している。
たま:五月五日の節句に作る薬玉、香草や花を糸で貫いたもの
あへぬく:交えて貫き通す
- 作者
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藤原五百重娘
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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春霞たなびく山のへなれれば 妹に逢はずて月ぞ経にける
- 次の歌
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神奈備の石瀬の社の霍公鳥 毛無の岡にいつか来鳴かむ