霍公鳥なかる国にも行きてしか
その鳴く声を聞けば苦しも
- 歌の意味
-
ほととぎすのいない国にでも行ってしまいたい。その鳴く声を聞くと、苦しくてならないから。
- 鑑賞
-
巻第八 夏雑歌 1467
詞書「弓削皇子の御歌一首」
ほととぎすの鳴く声を聞くと苦しくてならないので、いっそほととぎすのいない国へ行ってしまいたいと詠む歌である。ほととぎすの声は人恋しさや物思いをかき立てるものとされ、その声から逃れたいほどの深い憂いが表されている。
作者の弓削皇子は天武天皇の皇子である。
初句「霍公鳥」は、一首の主題となる鳥を示す。
二句「なかる国にも」は、いない国にでもの意である。多くの歌がほととぎすの訪れを待ちわびるのに対し、この歌はその声から逃れたいと願う点で異色である。
三句「行きてしか」は、願望の「てしか」で、行ってしまいたいと強く願う。ここで句切れとなる。
四句「その鳴く声を」は、ほととぎすの声を示す。
結句「聞けば苦しも」は、聞くと苦しいことだと理由を述べる。同じ結句は本巻の第千四百八十四首にもあり、そちらも独り寝の夜にほととぎすの声を苦しく聞く心を詠んでいる。
くに:土地、地方
- 作者
-
弓削皇子
- 出典
-
万葉集
- 前の歌
-
神奈備の石瀬の社の霍公鳥 毛無の岡にいつか来鳴かむ
- 次の歌
-
霍公鳥声聞く小野の秋風に 萩咲きぬれや声の乏しき