恋しけば形見にせむと我がやどに
植ゑし藤波今咲きにけり
- 歌の意味
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恋しくなったら思い出のよすがにしようと我が家の庭に植えた藤の花が、今咲いたことだ。
- 鑑賞
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巻第八 夏雑歌 1471
詞書「山部宿禰赤人の歌一首」
恋しい人を思い出すよすがにしようと庭に植えた藤が、今ちょうど花を咲かせたと詠む歌である。咲いた藤を見て、植えた時の思いがよみがえり、相手への恋しさがいっそうつのる心が込められている。
作者の山部赤人は、奈良時代前期の宮廷歌人である。清らかな叙景歌にすぐれ、後世、柿本人麻呂と並び称された。
初句「恋しけば」は、恋しくなったならばの意である。
二句「形見にせむと」は、思い出のよすがにしようとの意で、藤を植えた理由を示す。
三句「我がやどに」は、自分の家の庭である。
四句「植ゑし藤波」の「藤波」は、藤の花房が波のように揺れるさまから藤の花をいう。本巻の第千四百二十三首も庭に植えた梅が咲いたことを詠んでおり、植えた花の開花を喜ぶ歌が、春と夏とで対応している。
結句「今咲きにけり」は、完了の「に」と詠嘆の「けり」で、藤が今咲いたことへの感動を表している。
ふぢなみ:藤の花房が波のように揺れるさま、藤の花
かたみ:思い出のよすがとなる品
- 作者
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山部赤人
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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もののふの石瀬の社の霍公鳥 今も鳴かぬか山の常蔭に
- 次の歌
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霍公鳥来鳴き響もす卯の花の 伴にや来しと問はましものを