何しかもここだく恋ふる霍公鳥
鳴く声聞けば恋こそまされ
- 歌の意味
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どうしてこれほどまでにほととぎすを恋い慕うのだろうか。その鳴く声を聞けば、恋しさはかえってつのるばかりなのに。
- 鑑賞
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巻第八 夏雑歌 1475
詞書「大伴坂上郎女の霍公鳥の歌一首」
ほととぎすの声を待ちこがれながら、いざその声を聞くと、かえって恋しさがつのってしまうと詠む歌である。鳥の声を求める心と、その声に苦しむ心との矛盾が、自問の形で表されている。
作者の大伴坂上郎女は、大伴安麻呂の娘で、大伴旅人の異母妹にあたる。大伴家持の叔母であり、のちに姑ともなった。万葉集に多くの歌を残す女性歌人である。
初句「何しかも」は、どうしてかと自らに問いかける語である。
二句「ここだく恋ふる」は、これほどひどく恋い慕うの意で、連体形で三句の「霍公鳥」にかかる。
三句「霍公鳥」は、恋い慕う対象としての鳥を示す。
四句「鳴く声聞けば」は、その声を聞くとの意で、上の句の問いに対する答えを導く。
結句「恋こそまされ」は、係助詞「こそ」を受けて已然形「まされ」で結ぶ係り結びで、恋しさがかえってつのることを強調する。本巻の第千四百十九首の結句「我が恋まさる」とも響き合い、鳥の声が恋心をかき立てるという心が巻中に繰り返されている。
ほととぎす:初夏に渡来して鳴く鳥、夏の訪れを告げる
- 作者
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大伴坂上郎女
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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今もかも大城の山に霍公鳥 鳴き響むらむ我れなけれども
- 次の歌
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ひとり居て物思ふ宵に霍公鳥 こゆ鳴き渡る心しあるらし