皆人の待ちし卯の花散りぬとも
鳴く霍公鳥我れ忘れめや
- 歌の意味
-
人々が皆待ちかねていた卯の花が散ってしまっても、鳴くほととぎすのことを、私は忘れるだろうか、いや忘れはしない。
- 鑑賞
-
巻第八 夏雑歌 1482
詞書「大伴清縄の歌一首」
誰もが待ちわびた卯の花が散ってしまっても、そこで鳴いていたほととぎすのことは決して忘れないと詠む歌である。花が散ったあとも心に残る鳥の声を、いつまでも大切に思う心が表されている。
作者の大伴清縄は、大伴氏の一族で、伝は未詳である。
初句「皆人の」は、人々が皆の意である。
二句「待ちし卯の花」は、過去の「し」で、皆が咲くのを待っていた卯の花であることを示す。
三句「散りぬとも」は、逆接の仮定で、散ってしまってもの意である。
四句「鳴く霍公鳥」は、卯の花の咲くころに鳴いていたほととぎすである。本巻の第千四百七十二首で卯の花の連れとして詠まれたほととぎすと同じく、花と鳥が一組にとらえられている。
結句「我れ忘れめや」は、推量の「め」に反語の「や」を添え、忘れるだろうか、いや忘れはしないと強く打ち消している。
うのはな:うつぎの花、初夏に白い花をつける
- 作者
-
大伴清縄
- 出典
-
万葉集
- 前の歌
-
我が宿の花橘に霍公鳥 今こそ鳴かめ友に逢へる時
- 次の歌
-
我が背子が宿の橘花をよみ 鳴く霍公鳥見にぞ我が来し