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霍公鳥思はずありき木の暗の
かくなるまでに何か来鳴かぬ

歌の意味
ほととぎすよ、思いもしなかった。木々が茂って暗くなるほどになっても、どうして来て鳴かないのか。
鑑賞
巻第八 夏雑歌 1487

詞書は前の歌に続き「大伴家持の霍公鳥の晩く喧くを恨むる歌二首」
 木々の葉が茂って木陰が暗くなるころになっても、ほととぎすがまだ来て鳴かないことを、思いもよらなかったと恨む歌である。前歌に続き、ほととぎすの遅い訪れへのもどかしさが詠まれている。
 作者の大伴家持は、大伴旅人の子で、奈良時代の官人である。中納言に至り、万葉集の編纂に深く関わったとされ、集中最も多くの歌を残す。

 初句「霍公鳥」は呼びかけである。
 二句「思はずありき」は、過去の「き」で、こうなるとは思わなかったと言い切り、ここで句切れとなる。
 三句「木の暗の」は、木々が茂って暗くなった所の意で、夏が深まったことを示す。
 四句「かくなるまでに」は、このようになるまでにの意である。
 結句「何か来鳴かぬ」は、係助詞「か」を受けて打消の「ず」の連体形「ぬ」で結ぶ係り結びで、どうして来て鳴かないのかと問い詰めている。次歌では、ようやく鳴いたほととぎすを喜んでおり、恨みから喜びへと歌が転じていく。

このくれ:木々が茂って暗くなった所
作者
大伴家持
出典
万葉集
前の歌
我が宿の花橘を霍公鳥 来鳴かず地に散らしてむとか
次の歌
いづくには鳴きもしにけむ霍公鳥 我家の里に今日のみぞ鳴く