君が家の花橘はなりにけり
花のある時に逢はましものを
- 歌の意味
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あなたの家の橘は、もう実になってしまった。花の咲いている時にお逢いしたかったのに。
- 鑑賞
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巻第八 夏雑歌 1492
詞書「橘の歌一首[遊行女婦]」
あなたの家の橘はもう実になってしまった、花の咲いている時にお逢いしたかったと詠む歌である。宴の席に侍った遊行女婦が、主人の家の橘を話題にして、訪れが遅くなったことを惜しみつつ主人への親しみを示した挨拶の歌と解されている。
作者は題詞の注に「遊行女婦」とあるのみで、名は伝わらない。遊行女婦は、宴席に侍って歌や舞を披露した女性である。
なお本文の四句は「花のある時に」とあり、読み仮名の行の「はななるときに」と一致しない。ここでは本文の表記に従う。
初句「君が家の」は、宴の主人の家を指す。
二句「花橘は」は、花の咲いていた橘である。
三句「なりにけり」は、実がなったの意で、完了の「に」と詠嘆の「けり」で言い切り、ここで句切れとなる。本巻の第千四百八十九首も、花が散り過ぎて実になった橘を詠んでいる。
四句「花のある時に」は、字余りの句で、花の咲いている時にの意である。
結句「逢はましものを」は、反実仮想の「まし」に「ものを」を添え、逢えたらよかったのにと、かなわなかったことを惜しんでいる。
なる:実を結ぶ
うかれめ:遊行女婦、宴席で歌や舞を披露した女性
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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卯の花の過ぎば惜しみか霍公鳥 雨間も置かずこゆ鳴き渡る
- 次の歌
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我が宿の花橘を霍公鳥 来鳴き響めて本に散らしつ