- 歌の意味
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五月の橘の花を、あなたのために玉として糸に貫いているのだ。散ってしまうのが惜しいので。
- 鑑賞
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巻第八 夏相聞 1502
詞書「大伴坂上郎女の歌一首」
五月の橘の花が散ってしまうのを惜しみ、あなたのために玉として糸に貫いておくのだと詠む歌である。花の美しさを留めておきたい心と、相手を思う心とが一つになっている。
作者の大伴坂上郎女は、大伴安麻呂の娘で、大伴旅人の異母妹にあたる。大伴家持の叔母であり、のちに姑ともなった。万葉集に多くの歌を残す女性歌人である。
初句「五月の」は、橘の花の盛りの時節であり、玉を貫く節句の月でもある。
二句「花橘を」は、花の咲いた橘である。
三句「君がため」は、あなたのためにの意で、相手への思いを示す。
四句「玉にこそ貫け」は、係助詞「こそ」を受けて已然形「貫け」で結ぶ係り結びで、玉として貫いているのだと強める。本巻の第千四百六十五首がほととぎすの声を五月の玉に貫こうとしたように、玉に貫くことは夏の歌に繰り返し詠まれている。
結句「散らまく惜しみ」は、「〜を〜み」の形で、散ってしまうのが惜しいのでの意で、倒置によって理由を最後に示している。
はなたちばな:花の咲いた橘
- 作者
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大伴坂上郎女
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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霍公鳥鳴く峰の上の卯の花の 憂きことあれや君が来まさぬ
- 次の歌
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我妹子が家の垣内のさ百合花 ゆりと言へるはいなと言ふに似る