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故郷の奈良思の岡の霍公鳥
言告げ遣りしいかに告げきや

歌の意味
故郷の奈良思の岡のほととぎすに、あなたへの伝言を託してやったが、どのように告げたのだろうか。
鑑賞
巻第八 夏相聞 1506

詞書「大伴田村大嬢の妹坂上大嬢に与ふる歌一首」
 故郷の奈良思の岡のほととぎすに、妹への伝言を託して送ったが、どのように伝えてくれただろうかと問いかける歌である。姉妹の間の親しい情を、ほととぎすを使いとする恋の歌の趣向で表している。
 作者の大伴田村大嬢は、大伴宿奈麻呂の娘で、坂上大嬢の異母姉にあたる。田村の里に住んだことからこの名で呼ばれる。

 初句「故郷の」は、かつて住んだ土地、なじみの里を指す。
 二句「奈良思の岡の」は、奈良の地にある岡の名である。
 三句「霍公鳥」は、伝言を託した鳥を示す。本巻の第千四百九十八首、第千五百五首に続き、ほととぎすを使いとする歌が並んでいる。
 四句「言告げ遣りし」は、伝言を託して送ったの意で、過去の「し」で連体形となり、ここで句切れとなる。
 結句「いかに告げきや」は、過去の「き」に疑問の「や」を添え、どのように告げただろうかと問いかけている。

ことつぐ:伝言する、言葉を伝える
ふるさと:かつて住んだ土地、なじみの里
作者
大伴田村大嬢
出典
万葉集
前の歌
霍公鳥鳴きしすなはち君が家に 行けと追ひしは至りけむかも
次の歌
望ぐたち清き月夜に我妹子に 見せむと思ひしやどの橘