経もなく緯も定めず娘子らが
織る黄葉に霜な降りそね
- 歌の意味
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縦糸もなく横糸も決めずに、乙女たちが織りあげた錦のような黄葉に、霜よ、降らないでおくれ。
- 鑑賞
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巻第八 秋雑歌 1512
詞書「大津皇子の御歌一首」
縦糸も横糸もなしに乙女たちが織りあげたかのような、錦のように美しい黄葉に、霜よ降らないでほしいと願う歌である。山を彩る黄葉を天の乙女が織った錦に見立てる、華やかで想像力に富んだ一首である。
作者の大津皇子は天武天皇の皇子で、文武にすぐれた。天武天皇の没後、謀反の疑いをかけられて死を賜った。
初句「経もなく」は、織物の縦糸もなくの意である。
二句「緯も定めず」は、横糸も決めずにの意で、初句と対をなし、人の手では織りえない自然の織物であることを示す。
三句「娘子らが」は、黄葉を織った者として、乙女たちを想定している。
四句「織る黄葉に」は、乙女たちが織った黄葉にの意で、黄葉を錦の織物に見立てている。
結句「霜な降りそね」は、「な〜そ」の禁止に願望の「ね」を添え、霜よ降らないでくれと願う。霜は黄葉を散らすものとされ、美しいものを失いたくない心が表れている。
たて:織物の縦糸
ぬき:織物の横糸
もみちば:色づいた木の葉
- 作者
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大津皇子
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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夕されば小倉の山に鳴く鹿は 今夜は鳴かず寐ねにけらしも
- 次の歌
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今朝の朝明雁が音聞きつ春日山 もみちにけらし我が心痛し