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味酒三輪のはふりの山照らす
秋の黄葉の散らまく惜しも

歌の意味
三輪の神官が祭る山を照り輝かせている秋の黄葉が、散ってしまうのは惜しいことだ。
鑑賞
巻第八 秋雑歌 1517

詞書「長屋王の歌一首」
 神の山として祭られる三輪山を照り輝かせる秋の黄葉が、やがて散ってしまうのを惜しむ歌である。神聖な山を彩る黄葉の華やかさと、それを惜しむ心が格調高く詠まれている。
 作者の長屋王は、天武天皇の孫で高市皇子の子にあたる。左大臣に至ったが、神亀六年(729)、謀反の疑いをかけられて自害した。

 初句「味酒」は、「三輪」にかかる枕詞である。神に供える酒を「みわ」といったことによる。
 二句「三輪のはふりの」の「はふり」は神に仕える神職で、三輪の神職が祭る山の意である。
 三句「山照らす」は、黄葉が山を照り輝かせるの意で、黄葉の色の鮮やかさを光にたとえている。
 四句「秋の黄葉の」は、山を彩る秋の黄葉を示す。
 結句「散らまく惜しも」は、散ってしまうことが惜しいの意で、詠嘆の「も」で結ぶ。同じ結句は本巻の第千五百九十四首にもあり、そちらは時雨に紅の山の散るのを惜しんでいる。

はふり:神に仕える神職
うまさけ:おいしい酒の意から、三輪にかかる枕詞
作者
長屋王
出典
万葉集
前の歌
秋山にもみつ木の葉のうつりなば さらにや秋を見まく欲りせむ
次の歌
天の川相向き立ちて我が恋ひし 君来ますなり紐解き設けな