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たぶてにも投げ越しつべき天の川
隔てればかもあまたすべなき

歌の意味
小石でさえ投げ越せそうなほど狭い天の川だが、それが二人を隔てているからだろうか、どうしようもなくつらい。
鑑賞
巻第八 秋雑歌 1522

詞書は前の歌に続き「山上臣憶良の七夕の歌十二首」
 小石でも投げ越せそうなほど狭い天の川なのに、それに隔てられているために、どうしようもなくつらいと嘆く歌である。距離の近さと、越えられない隔たりとの対比によって、逢えない悲しみが強く表されている。左注は前歌と同じく、天平元年(729)七月七日の夜の作とする。
 作者の山上憶良は奈良時代前期の官人で歌人である。遣唐使の一員として唐に渡り、のちに筑前守となった。人生や社会を見つめた歌で知られる。

 初句「たぶてにも」は、小石でさえもの意である。
 二句「投げ越しつべき」は、完了の「つ」と可能の「べし」で、投げ越すことができそうなの意で、川の狭さを示す。
 三句「天の川」は、二人を隔てる川である。
 四句「隔てればかも」は、係助詞「か」を含み、隔てているからだろうかと推し量る。
 結句「あまたすべなき」は、四句の「か」を受けて連体形で結び、どうしようもなくつらいことを表す。近くて遠い天の川の隔たりは、七夕歌群を貫く主題となっている。

たぶて:小石、つぶて
すべ:手段、方法
作者
山上憶良
出典
万葉集
前の歌
風雲は二つの岸に通へども 我が遠妻の言ぞ通はぬ
次の歌
秋風の吹きにし日よりいつしかと 我が待ち恋ひし君ぞ来ませる