天の川いと川波は立たねども
さもらひかたし近きこの瀬を
- 歌の意味
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天の川は、それほど川波が立っているわけではないけれど、渡る機会をうかがい待つのはつらい。こんなに近いこの瀬であるのに。
- 鑑賞
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巻第八 秋雑歌 1524
詞書は前の歌に続き「山上臣憶良の七夕の歌十二首」
天の川はそれほど波が高いわけでもなく、瀬も近いのに、渡る時を待ち続けるのはつらいと、彦星の立場で詠んだ歌である。渡ろうと思えば渡れそうな近さでありながら、定められた日を待たねばならないもどかしさが表されている。左注は、天平二年(730)七月八日の夜、大宰帥の家での集まりの作とする。
作者の山上憶良は奈良時代前期の官人で歌人である。遣唐使の一員として唐に渡り、のちに筑前守となった。人生や社会を見つめた歌で知られる。
初句「天の川」は、二人を隔てる川である。
二句「いと川波は」の「いと」は、下に打消を伴って、それほどの意を表す。
三句「立たねども」は、逆接の「ども」で、立たないけれどもの意である。
四句「さもらひかたし」の「さもらふ」は、様子をうかがって機会を待つことで、待つのがつらいと言い切り、ここで句切れとなる。
結句「近きこの瀬を」は、こんなに近いこの瀬をの意で、倒置によって近さを最後に強調し、近いのに渡れない嘆きを際立たせている。
さもらふ:様子をうかがって機会を待つ
- 作者
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山上憶良
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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秋風の吹きにし日よりいつしかと 我が待ち恋ひし君ぞ来ませる
- 次の歌
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袖振らば見も交しつべく近けども 渡るすべなし秋にしあらねば