袖振らば見も交しつべく近けども
渡るすべなし秋にしあらねば
- 歌の意味
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袖を振れば互いに見交わすこともできそうなほど近いのに、渡る手だてがない。まだその秋の夜ではないので。
- 鑑賞
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巻第八 秋雑歌 1525
詞書は前の歌に続き「山上臣憶良の七夕の歌十二首」
袖を振れば姿を見交わせるほど近いのに、逢瀬の許される秋の夜ではないので、渡る手だてがないと嘆く歌である。目に見えるほど近くにいながら、定められた時を待たねばならない二人の悲しみが表されている。左注は、天平二年(730)七月八日の夜、大宰帥の家での集まりの作とする。
作者の山上憶良は奈良時代前期の官人で歌人である。遣唐使の一員として唐に渡り、のちに筑前守となった。人生や社会を見つめた歌で知られる。
初句「袖振らば」は、袖を振ったならばの意である。袖を振るのは、別れや恋の思いを伝える仕草であった。
二句「見も交しつべく」は、互いに見交わすことができそうなほどの意である。
三句「近けども」は、逆接の「ども」で、近いけれどもの意である。
四句「渡るすべなし」は、渡る手だてがないと言い切り、ここで句切れとなる。
結句「秋にしあらねば」は、強意の「し」を含み、逢瀬の許される秋ではないのでの意で、倒置によって理由を最後に示している。
すべ:手段、方法
- 作者
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山上憶良
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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天の川いと川波は立たねども さもらひかたし近きこの瀬を
- 次の歌
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玉かぎるほのかに見えて別れなば もとなや恋ひむ逢ふ時までは