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玉かぎるほのかに見えて別れなば
もとなや恋ひむ逢ふ時までは

歌の意味
ほんのわずかに姿が見えただけで別れてしまったならば、どうしようもなく恋しく思うことだろう。次に逢う時までは。
鑑賞
巻第八 秋雑歌 1526

詞書は前の歌に続き「山上臣憶良の七夕の歌十二首」
 一年に一度の逢瀬で、ほんのわずかに姿を見ただけで別れてしまったなら、次に逢う時まで、どうしようもなく恋しく思うだろうと嘆く歌である。逢瀬の短さと、その後に続く長い待ち時間とが対比されている。左注は、天平二年(730)七月八日の夜、大宰帥の家での集まりの作とする。
 作者の山上憶良は奈良時代前期の官人で歌人である。遣唐使の一員として唐に渡り、のちに筑前守となった。人生や社会を見つめた歌で知られる。

 初句「玉かぎる」は、玉がほのかに光る意から、「ほのか」にかかる枕詞である。
 二句「ほのかに見えて」は、わずかに姿が見えての意で、逢瀬のはかなさを示す。
 三句「別れなば」は、完了の「な」に「ば」が付いた仮定で、別れてしまったならばの意である。
 四句「もとなや恋ひむ」の「もとな」は、むやみに、どうしようもなくの意で、疑問の「や」と推量の「む」で、恋しく思うだろうかと嘆く。ここで句切れとなる。
 結句「逢ふ時までは」は、次に逢う時まではの意で、倒置によって一年という長い時の隔たりを最後に示している。

あふ:男女が逢う、契りを結ぶ
作者
山上憶良
出典
万葉集
前の歌
袖振らば見も交しつべく近けども 渡るすべなし秋にしあらねば
次の歌
彦星の妻迎へ舟漕ぎ出らし 天の川原に霧の立てるは