草枕旅行く人も行き触れば
にほひぬべくも咲ける萩かも
- 歌の意味
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旅を行く人も、通りがかりに触れたならば、衣が美しく染まってしまいそうなほどに咲いている萩であることよ。
- 鑑賞
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巻第八 秋雑歌 1532
詞書「笠朝臣金村の伊香山にして作る歌二首」
伊香山で、旅人が通りがかりに触れただけで衣が色に染まってしまいそうなほど、萩が美しく咲いていると詠む歌である。萩の花の色の鮮やかさと咲き乱れるさまを、衣が染まるという印象的な表現で伝えている。
作者の笠金村は奈良時代前期の宮廷歌人で、天皇の行幸に従って多くの歌を詠んだ。伊香山は近江国の山で、旅の途中に立ち寄って詠んだものとみられる。
初句「草枕」は、「旅」にかかる枕詞である。
二句「旅行く人も」は、旅をしている人もの意で、作者自身を含めた旅人を指す。
三句「行き触れば」は、通りがかりに触れたならばの意である。
四句「にほひぬべくも」の「にほふ」は、色が美しく映える、色が移り染まるの意で、完了の「ぬ」と推量の「べし」で、染まってしまいそうなほどにと強める。
結句「咲ける萩かも」は、詠嘆の「かも」で、咲き乱れる萩への感動を表している。萩は本巻の秋雑歌で最も多く詠まれる花である。
にほふ:色が美しく映える、色が移り染まる
- 作者
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笠金村
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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玉櫛笥蘆城の川を今日見ては 万代までに忘らえめやも
- 次の歌
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伊香山野辺に咲きたる萩見れば 君が家なる尾花し思ほゆ