彦星の思ひますらむ心より
見る我れ苦し夜の更けゆけば
- 歌の意味
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彦星が恋しく思っていらっしゃるであろうその心よりも、それを見ている私のほうが苦しい。夜が更けていくので。
- 鑑賞
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巻第八 秋雑歌 1544
詞書「湯原王の七夕の歌二首」
七夕の夜が更けていくにつれ、逢瀬の時が過ぎてしまうのを思う彦星の心よりも、それを見守る自分のほうが苦しいと詠む歌である。天上の恋人たちに深く心を寄せる、見る者の立場からの七夕歌となっている。
作者の湯原王は、志貴皇子の子で、奈良時代の皇族である。清らかな歌風で知られる。
初句「彦星の」は、牽牛星を指す。
二句「思ひますらむ」は、尊敬の「ます」と現在推量の「らむ」で、思っていらっしゃるだろうの意である。
三句「心より」は、その心よりもと比較を示す。
四句「見る我れ苦し」は、見ている私が苦しいと言い切り、ここで句切れとなる。本巻の第千五百十八首以下の山上憶良の七夕歌が彦星や織女の立場で詠まれたのに対し、この歌は地上から見守る者の立場で詠まれている。
結句「夜の更けゆけば」は、夜が更けていくのでの意で、逢瀬の時の短さを嘆く理由を倒置によって示している。
ひこほし:牽牛星、七夕伝説の男星
- 作者
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湯原王
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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秋の露は移しにありけり水鳥の 青葉の山の色づく見れば
- 次の歌
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織女の袖継ぐ宵の暁は 川瀬の鶴は鳴かずともよし