時待ちて降れるしぐれの雨やみぬ
明けむ朝か山のもみたむ
- 歌の意味
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時節を待って降った時雨の雨がやんだ。夜が明けた朝には、山は色づいていることだろうか。
- 鑑賞
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巻第八 秋雑歌 1551
詞書「市原王の歌一首」
秋の季節を待って降った時雨がやんだので、夜が明けた朝には山々が色づいているだろうかと期待する歌である。時雨が木の葉を色づかせるという考えのもと、明朝の山の景色を待ちわびる心が表されている。
作者の市原王は、安貴王の子で、奈良時代の皇族である。造東大寺長官などを務めた。
初句「時待ちて」は、その季節を待ってという意で、時雨が秋になって降るものであることを示す。
二句「降れるしぐれの」は、降った時雨のの意で、時雨は秋から冬にかけて降ったりやんだりする雨である。
三句「雨やみぬ」は、完了の「ぬ」で、雨がやんだと言い切り、ここで句切れとなる。
四句「明けむ朝か」は、係助詞「か」で、夜が明けた朝にはと推し量る心を導く。
結句「山のもみたむ」は、四句の「か」を受けて推量の「む」の連体形で結ぶ係り結びで、山が色づくだろうかと期待している。次々歌の第千五百五十三首では、時雨が降り続いて御笠山が色づいたと詠まれ、時雨と黄葉の関係が続けて詠まれている。
しぐれ:秋から冬にかけて降ったりやんだりする雨
もみつ:木の葉が色づく
- 作者
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市原王
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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秋萩の散りの乱ひに呼びたてて 鳴くなる鹿の声の遥けさ
- 次の歌
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夕月夜心もしのに白露の 置くこの庭にこほろぎ鳴くも