時雨の雨間なくし降れば御笠山
木末あまねく色づきにけり
- 歌の意味
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時雨の雨が絶え間なく降るので、御笠山の梢は一面に色づいたことだ。
- 鑑賞
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巻第八 秋雑歌 1553
詞書「衛門大尉大伴宿禰稲公の歌一首」
時雨が絶え間なく降り続いたので、御笠山の梢が一面に色づいたと詠む歌である。時雨が木の葉を染めるという考えのもと、山全体が色づいた華やかな景をとらえている。次歌はこの歌に大伴家持が和したものである。
作者の大伴稲公は、大伴安麻呂の子で、大伴旅人の異母弟にあたる。衛門大尉などを務めた。
初句「時雨の雨」は字余りで、秋から冬にかけて降る時雨を示す。
二句「間なくし降れば」は、強意の「し」で、絶え間なく降るのでと理由を示す。本巻の第千五百八十五首も「時雨の雨し間なく降るらし」と、同じく時雨の絶え間ない降りを詠んでいる。
三句「御笠山」は、奈良の春日山の一峰である。
四句「木末あまねく」は、梢が一面にの意で、山全体の色づきを示す。
結句「色づきにけり」は、完了の「に」と詠嘆の「けり」で、色づいたことへの感動を表している。前の第千五百五十一首の市原王の歌が、時雨のあとの色づきを期待したのに対し、この歌はその色づきを見届けた形になっている。
こぬれ:木の枝先、梢
しぐれ:秋から冬にかけて降ったりやんだりする雨
- 作者
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大伴稲公
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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夕月夜心もしのに白露の 置くこの庭にこほろぎ鳴くも
- 次の歌
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大君の御笠の山の黄葉は 今日の時雨に散りか過ぎなむ