秋田刈る仮廬もいまだ壊たねば
雁が音寒し霜も置きぬがに
- 歌の意味
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秋の田を刈るための仮小屋もまだ取り壊していないのに、雁の声が寒々と聞こえる。霜も置いてしまいそうなほどに。
- 鑑賞
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巻第八 秋雑歌 1556
詞書「忌部首黒麻呂の歌一首」
秋の田を刈り取るために建てた仮小屋もまだ取り壊していないのに、雁の声が寒々と聞こえ、霜も降りそうなほどだと詠む歌である。稲刈りの季節がまだ終わらないうちに、はや冬の気配が忍び寄ってくる季節の移ろいの速さが表されている。
作者の忌部黒麻呂は、忌部氏の官人で、伝は未詳である。
初句「秋田刈る」は、秋の田の稲を刈るの意である。
二句「仮廬もいまだ」は字余りで、刈り入れのために仮に作った小屋もまだの意である。
三句「壊たねば」の「ねば」は、ここでは〜ないのにという逆接の意である。
四句「雁が音寒し」は、雁の声が寒々と聞こえると言い切り、ここで句切れとなる。本巻の第千五百四十首の聖武天皇の御製も「雁が音寒く」と、雁の声に寒さを感じ取っている。
結句「霜も置きぬがに」は字余りで、霜も置いてしまいそうなほどにの意で、倒置によって寒さの程度を示している。
かりいほ:仮に作った粗末な小屋
こほつ:壊す、取り壊す
- 作者
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忌部黒麻呂
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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秋立ちて幾日もあらねばこの寝ぬる 朝明の風は手本寒しも
- 次の歌
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明日香川行き廻る岡の秋萩は 今日降る雨に散りか過ぎなむ