聞きつやと妹が問はせる雁が音は
まことも遠く雲隠るなり
- 歌の意味
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聞いたかとあなたがお尋ねになった雁の声は、本当に遠く、雲に隠れていくようだ。
- 鑑賞
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巻第八 秋雑歌 1563
詞書「大伴家持の和ふる歌一首」
前歌で巫部麻蘇娘子が、雁の声を誰か聞いたかと問いかけたのに答え、その雁の声は本当に遠く、雲に隠れていくようだと詠む歌である。雁の声の遠さに、相手の思いに応えきれない距離感をほのめかしたものとも解されている。
作者の大伴家持は、大伴旅人の子で、奈良時代の官人である。中納言に至り、万葉集の編纂に深く関わったとされ、集中最も多くの歌を残す。
初句「聞きつやと」は、聞いたかとの意で、前歌の初句「誰れ聞きつ」を受けている。
二句「妹が問はせる」は、尊敬の「す」と存続の「り」で、あなたがお尋ねになったの意である。
三句「雁が音は」は、前歌の「雁がね」を受けている。
四句「まことも遠く」は、本当に遠くの意である。
結句「雲隠るなり」の「なり」は、音によって推定する助動詞で、雲に隠れていくようだと、遠ざかる雁の声を耳で追っている。本巻の第千四百五十四首の笠金村の歌も、雲に隠れる小島に別れの嘆きを重ねており、雲に隠れていくものに遠い距離を託す表現が共通している。
かりがね:雁の鳴く声、また雁
くもがくる:雲に隠れる
- 作者
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大伴家持
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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誰れ聞きつこゆ鳴き渡る雁がねの 妻呼ぶ声の羨しくもあるか
- 次の歌
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秋づけば尾花が上に置く露の 消ぬべくも我は思ほゆるかも