久方の雨間も置かず雲隠り
鳴きぞ行くなる早稲田雁がね
- 歌の意味
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雨の晴れ間も待たずに、雲に隠れて鳴きながら飛んで行くのが聞こえる、早稲田の上の雁は。
- 鑑賞
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巻第八 秋雑歌 1566
詞書「大伴家持の秋の歌四首」
雨の晴れ間も待たずに、雲に隠れて鳴きながら早稲田の上を渡っていく雁の声を詠む歌である。姿の見えない雁の声だけが雨空に響き、秋の深まりとそのもの寂しさが感じられる。左注に「右四首は、天平八年(736)秋九月に作る」とある。
作者の大伴家持は、大伴旅人の子で、奈良時代の官人である。中納言に至り、万葉集の編纂に深く関わったとされ、集中最も多くの歌を残す。
初句「久方の」は、「雨」にかかる枕詞である。
二句「雨間も置かず」は、雨の晴れ間も待たずにの意である。
三句「雲隠り」は、雲に隠れての意で、雁の姿が見えないことを示す。本巻の第千四百五十四首の笠金村の歌も「雲隠り」の語で遠ざかるものを描いている。
四句「鳴きぞ行くなる」は、係助詞「ぞ」を受けて推定の「なり」の連体形「なる」で結ぶ係り結びで、鳴きながら行くのが聞こえるの意である。
結句「早稲田雁がね」は体言止めで、早稲田の上を渡る雁を最後に示している。
わさだ:早く実る稲を植えた田
あまま:雨の晴れ間
- 作者
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大伴家持
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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我が宿の一群萩を思ふ子に 見せずほとほと散らしつるかも
- 次の歌
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雲隠り鳴くなる雁の行きて居む 秋田の穂立繁くし思ほゆ