雲隠り鳴くなる雁の行きて居む
秋田の穂立繁くし思ほゆ
- 歌の意味
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雲に隠れて鳴いている雁が、行って降り立つであろう秋の田の稲穂が茂り立つように、しきりに物思いがつのることだ。
- 鑑賞
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巻第八 秋雑歌 1567
詞書は前の歌に続き「大伴家持の秋の歌四首」
雲に隠れて鳴く雁が降り立つであろう秋の田の、茂り立つ稲穂のように、しきりに物思いがつのると詠む歌である。雁の行方と実りの田の景を思い描きつつ、茂る稲穂に絶え間ない物思いを重ねている。左注により、天平八年(736)秋九月の作である。
作者の大伴家持は、大伴旅人の子で、奈良時代の官人である。中納言に至り、万葉集の編纂に深く関わったとされ、集中最も多くの歌を残す。
初句「雲隠り」は、前歌の三句を受け、雲に隠れて鳴く雁を引き継いでいる。
二句「鳴くなる雁の」の「なる」は、音によって推定する助動詞で、鳴いているのが聞こえる雁のの意である。
三句「行きて居む」は、行って降り立つであろうの意で、推量の「む」で雁の行方を思いやる。
四句「秋田の穂立」は、秋の田に稲穂が立ち並ぶさまで、初句からここまでが「繁く」を導く序詞となっている。
結句「繁くし思ほゆ」は、強意の「し」と自発の「ゆ」で、しきりに物思いがつのることを表している。
ほたち:稲穂が立ち並ぶさま
- 作者
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大伴家持
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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久方の雨間も置かず雲隠り 鳴きぞ行くなる早稲田雁がね
- 次の歌
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雨隠り心いぶせみ出で見れば 春日の山は色づきにけり