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雨晴れて清く照りたるこの月夜
またさらにして雲なたなびき

歌の意味
雨が晴れて清らかに照っているこの月夜に、雲よ、ふたたびたなびかないでおくれ。
鑑賞
巻第八 秋雑歌 1569

詞書は前の歌に続き「大伴家持の秋の歌四首」
 雨が上がって清らかに照る月夜を喜び、雲よ再びたなびいてこの月を隠さないでほしいと願う歌である。長雨のあとにようやく訪れた月夜を惜しむ心が表されている。左注により、天平八年(736)秋九月の作で、四首の最後の歌である。
 作者の大伴家持は、大伴旅人の子で、奈良時代の官人である。中納言に至り、万葉集の編纂に深く関わったとされ、集中最も多くの歌を残す。

 初句「雨晴れて」は、雨が晴れての意で、前の歌々の雨の景から晴れた夜へと転じている。
 二句「清く照りたる」は、清らかに照っているの意である。
 三句「この月夜」は、雨上がりの月夜を示し、ここで句切れとなる。
 四句「またさらにして」は、ふたたびの意である。
 結句「雲なたなびき」は、禁止の「な」で、雲よたなびかないでくれと願う。本巻の第千四百八十首の大伴書持の歌も、月の照る庭にほととぎすを呼んでおり、月夜の美しさを惜しむ心が響き合っている。

つくよ:月夜、月の明るい夜
作者
大伴家持
出典
万葉集
前の歌
雨隠り心いぶせみ出で見れば 春日の山は色づきにけり
次の歌
ここにありて春日やいづち雨障み 出でて行かねば恋ひつつぞ居る