雲の上に鳴きつる雁の寒きなへ
萩の下葉はもみちぬるかも
- 歌の意味
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雲の上で鳴いた雁の声が寒々と聞こえるちょうどその時に、萩の下葉は色づいたことだ。
- 鑑賞
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巻第八 秋雑歌 1575
詞書は前の歌に続き「右大臣橘家の宴の歌七首」
雲の上で鳴いた雁の声が寒々と聞こえたちょうどその時に、萩の下葉が色づいたと詠む歌である。雁の声の寒さと萩の葉の色づきを同時にとらえ、秋の深まりを感じ取っている。左注により、天平十年(738)八月二十日、右大臣橘諸兄の邸宅での宴の歌である。
左注には「右二首」とあるのみで作者の名が欠けており、作者は伝わらない。
初句「雲の上に」は字余りで、前歌の初句をそのまま受け、同じ宴の二首が同じ句で並んでいる。
二句「鳴きつる雁の」は、完了の「つ」で、鳴いた雁のの意である。
三句「寒きなへ」の「なへ」は、〜するちょうどその時にの意で、雁の声の寒さと萩の色づきとを結びつけている。本巻の第千五百四十首の聖武天皇の御製も「雁が音寒く聞きしなへ」と、同じ趣向で浅茅の色づきを詠んでいる。
四句「萩の下葉は」は、萩の下のほうの葉で、秋が深まると最初に色づく所である。
結句「もみちぬるかも」は、完了の「ぬ」と詠嘆の「かも」で、色づいたことへの感慨を表している。
したば:草木の下のほうの葉
もみつ:木の葉が色づく
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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雲の上に鳴くなる雁の遠けども 君に逢はむとた廻り来つ
- 次の歌
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この岡に小鹿踏み起しうかねらひ かもかもすらく君故にこそ