この岡に小鹿踏み起しうかねらひ
かもかもすらく君故にこそ
- 歌の意味
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この岡で小鹿を踏み起こし、様子をうかがって狙うように、あれこれと心を砕くのも、あなたのためなのだ。
- 鑑賞
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巻第八 秋雑歌 1576
詞書は前の歌に続き「右大臣橘家の宴の歌七首」
岡で小鹿を踏み起こして狙いを定める狩人のように、あれこれと心を砕いているのも、すべてあなたのためだと詠む歌である。狩りの情景を比喩として、宴の主人である橘諸兄への忠誠と敬愛の心を表している。左注に「右一首は、長門守巨曽倍朝臣津嶋」とある。
作者の巨曽倍津嶋は、長門守を務めた奈良時代の官人である。
初句「この岡に」は、宴の場に近い岡を指すとみられる。
二句「小鹿踏み起し」は字余りで、草むらに伏す小鹿を踏み起こしての意である。
三句「うかねらひ」は、様子をうかがって狙いを定めるの意で、初句からここまでが「かもかも」を導く序詞のはたらきをしている。
四句「かもかもすらく」は、あれこれとすることはの意で、心を砕き尽くすさまをいう。
結句「君故にこそ」は、係助詞「こそ」で、あなたのためだと強く言い切り、主人への敬意を表している。
うかねらふ:様子をうかがって狙いを定める
をしか:小さな鹿、若い鹿
- 作者
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巨曽倍津嶋
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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雲の上に鳴きつる雁の寒きなへ 萩の下葉はもみちぬるかも
- 次の歌
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秋の野の尾花が末を押しなべて 来しくもしるく逢へる君かも