秋の野の尾花が末を押しなべて
来しくもしるく逢へる君かも
- 歌の意味
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秋の野の尾花の穂先を押し倒しながらやって来たかいがあって、こうしてお逢いできたあなたであることよ。
- 鑑賞
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巻第八 秋雑歌 1577
詞書は前の歌に続き「右大臣橘家の宴の歌七首」
秋の野の尾花の穂先を押し分けながらやって来たかいがあって、あなたにお逢いできたと詠む歌である。宴に招かれた喜びと、主人の橘諸兄への敬意を表した挨拶の歌である。左注に「右二首は、阿倍朝臣虫麻呂」とある。
作者の阿倍虫麻呂は奈良時代の官人で、大伴坂上郎女の従兄弟にあたる。
初句「秋の野の」は字余りで、尾花の茂る秋の野を示す。
二句「尾花が末を」は、すすきの穂先をの意である。
三句「押しなべて」は、押し伏せての意で、尾花をかき分けて進んで来たさまを示す。本巻の第千五百七十四首が遠い道を回り道して来たと詠んだのと同じく、訪問の労をいとわなかったことを述べて主人をたたえている。
四句「来しくもしるく」は、やって来たかいがあっての意である。
結句「逢へる君かも」は、詠嘆の「かも」で、逢うことのできた喜びを表している。
うれ:草木の先端、穂先
おしなぶ:押し伏せる
- 作者
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阿倍虫麻呂
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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この岡に小鹿踏み起しうかねらひ かもかもすらく君故にこそ
- 次の歌
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今朝鳴きて行きし雁が音寒みかも この野の浅茅色づきにける