手折らずて散りなば惜しと我が思ひし
秋の黄葉をかざしつるかも
- 歌の意味
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手折らないまま散ってしまったら惜しいと私が思っていた秋の黄葉を、今こうして髪に挿したことだ。
- 鑑賞
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巻第八 秋雑歌 1581
詞書「橘朝臣奈良麻呂の集宴を結ぶ歌十一首」
手折らないまま散ってしまったら惜しいと思っていた秋の黄葉を、宴の席で髪に挿すことができた喜びを詠む歌である。左注に「以前は、冬十月十七日、右大臣橘卿の旧宅に集ひて宴飲す」とあり、天平十年(738)冬十月、父橘諸兄の旧宅で奈良麻呂が催した宴での歌である。ここから十一首の宴の歌が続く。
作者の橘奈良麻呂は、橘諸兄の子である。のちに藤原仲麻呂の打倒を企てて失敗し、捕らえられた。
初句「手折らずて」は、手折らないままでの意である。
二句「散りなば惜しと」は、完了の「な」に「ば」が付いた仮定で、散ってしまったら惜しいとの意である。
三句「我が思ひし」は字余りで、私が思っていたの意である。
四句「秋の黄葉を」は、宴の席で挿す黄葉である。
結句「かざしつるかも」は、完了の「つ」と詠嘆の「かも」で、髪に挿すことができた喜びを表す。本巻の第千五百八十三首も同じ結句で、宴の黄葉をかざした喜びが繰り返し詠まれている。
かざす:花や枝を髪や冠に挿して飾る
もみち:木の葉が色づくこと、また色づいた葉
- 作者
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橘奈良麻呂
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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さを鹿の来立ち鳴く野の秋萩は 露霜負ひて散りにしものを
- 次の歌
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めづらしき人に見せむと黄葉を 手折りぞ我が来し雨の降らくに