めづらしと我が思ふ君は秋山の
初黄葉に似てこそありけれ
- 歌の意味
-
すばらしいと私が思うあなたは、秋山の初めて色づいた黄葉に似ていることだ。
- 鑑賞
-
巻第八 秋雑歌 1584
詞書は前の歌に続き「橘朝臣奈良麻呂の集宴を結ぶ歌十一首」
すばらしいと思うあなたは、秋山の初めて色づいた黄葉に似ていると詠み、宴の主人である奈良麻呂をたたえる歌である。若々しく鮮やかな初黄葉に主人をなぞらえ、その人柄をほめている。左注に「右一首は、長忌寸娘」とある。
作者の長忌寸娘は、長氏の娘で、伝は未詳である。
初句「めづらしと」は、すばらしい、心ひかれるとの意である。本巻の第千五百八十二首で奈良麻呂が客を「めづらしき人」と呼んだのを受け、客の側から主人を「めづらし」と呼び返している。
二句「我が思ふ君は」は、私が思うあなたはの意で、主人を指す。
三句「秋山の」は、黄葉に彩られた秋の山である。
四句「初黄葉に」は、その秋初めて色づいた黄葉にの意で、若く鮮やかな美しさを表す。
結句「似てこそありけれ」は、係助詞「こそ」を受けて詠嘆の「けり」の已然形「けれ」で結ぶ係り結びで、まさに似ていることだと強く言い切っている。
はつもみちば:その秋初めて色づいた木の葉
- 作者
-
長忌寸娘
- 出典
-
万葉集
- 前の歌
-
黄葉を散らす時雨に濡れて来て 君が黄葉をかざしつるかも
- 次の歌
-
奈良山の嶺の黄葉取れば散る 時雨の雨し間なく降るらし