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あしひきの山の黄葉今夜もか
浮かび行くらむ山川の瀬に

歌の意味
山の黄葉は、今夜もまた、山あいの川の瀬に浮かんで流れていくのだろうか。
鑑賞
巻第八 秋雑歌 1587

詞書は前の歌に続き「橘朝臣奈良麻呂の集宴を結ぶ歌十一首」
 宴の席にあって、山の黄葉が今夜もまた散って、山川の瀬に浮かんで流れていくのだろうかと思いやる歌である。目の前のにぎやかな宴から離れ、遠い山の静かな夜の景に心を寄せている。左注に「右一首は、大伴宿禰書持」とある。
 作者の大伴書持は、大伴旅人の子で、家持の弟にあたる。若くして没した。

 初句「あしひきの」は、「山」にかかる枕詞である。
 二句「山の黄葉」は、山を彩る黄葉である。
 三句「今夜もか」は、係助詞「か」で、今夜もまたと推し量る心を表す。
 四句「浮かび行くらむ」は、三句の「か」を受けて現在推量の「らむ」の連体形で結ぶ係り結びで、浮かんで流れていくのだろうかと思いやる。ここで句切れとなる。
 結句「山川の瀬に」は、山あいを流れる川の瀬にの意で、倒置によって黄葉の流れる場所を最後に示している。宴の歌々が手折った黄葉をかざす喜びを詠む中で、この歌は散って流れる黄葉を思い描き、趣を異にしている。

もみちば:色づいた木の葉
やまがは:山あいを流れる川
作者
大伴書持
出典
万葉集
前の歌
黄葉を散らまく惜しみ手折り来て 今夜かざしつ何か思はむ
次の歌
奈良山をにほはす黄葉手折り来て 今夜かざしつ散らば散るとも