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奈良山をにほはす黄葉手折り来て
今夜かざしつ散らば散るとも

歌の意味
奈良山を美しく彩っている黄葉を手折って来て、今夜髪に挿した。もう散るなら散ってもかまわない。
鑑賞
巻第八 秋雑歌 1588

詞書は前の歌に続き「橘朝臣奈良麻呂の集宴を結ぶ歌十一首」
 奈良山を美しく彩る黄葉を手折って来て、今夜髪に挿したので、もう散るなら散ってもかまわないと詠む歌である。宴で黄葉を楽しむことができた満足感が、思い切りのよい言葉で表されている。左注に「右一首は、三手代人名」とある。
 作者の三手代人名は、伝の未詳な人物である。

 初句「奈良山を」は、奈良の都の北にある山である。本巻の第千五百八十五首も奈良山の黄葉を詠んでいる。
 二句「にほはす黄葉」の「にほはす」は、美しく色づかせる、照り映えさせるの意である。
 三句「手折り来て」は、手折って来ての意である。
 四句「今夜かざしつ」は、完了の「つ」で、今夜髪に挿したと言い切り、ここで句切れとなる。本巻の第千五百八十六首と同じ四句である。
 結句「散らば散るとも」は、散るなら散ってもかまわないの意で、宴の喜びが満たされたことを表す。次歌の第千五百八十九首も「後は散るとも」と結び、同じ思いが続けて詠まれている。

にほはす:美しく色づかせる、照り映えさせる
作者
三手代人名
出典
万葉集
前の歌
あしひきの山の黄葉今夜もか 浮かび行くらむ山川の瀬に
次の歌
露霜にあへる黄葉を手折り来て 妹とかざしつ後は散るとも