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十月時雨にあへる黄葉の
吹かば散りなむ風のまにまに

歌の意味
十月の時雨にあった黄葉は、風が吹いたなら散ってしまうだろう。風の吹くままに。
鑑賞
巻第八 秋雑歌 1590

詞書は前の歌に続き「橘朝臣奈良麻呂の集宴を結ぶ歌十一首」
 十月の時雨にあって色づききった黄葉は、風が吹けば、その吹くままに散ってしまうだろうと詠む歌である。散り際の黄葉のはかなさを見つめ、宴の終わりが近いことをも感じさせる。左注に「右一首は、大伴宿禰池主」とある。
 作者の大伴池主は、大伴氏の官人である。のちに越中国の官人として大伴家持と親しく歌を交わした。

 初句「十月」は、陰暦十月で、初冬の月である。字余りの句である。
 二句「時雨にあへる」は、時雨にあったの意で、前歌の「露霜にあへる」と同じ形をとっている。
 三句「黄葉の」は、時雨に色づいた黄葉である。
 四句「吹かば散りなむ」は、風が吹いたなら散ってしまうだろうの意で、完了の「な」と推量の「む」で結び、ここで句切れとなる。
 結句「風のまにまに」は、風の吹くままにの意で、倒置によって散りゆくさまを最後に描いている。

かむなづき:陰暦十月
しぐれ:秋から冬にかけて降ったりやんだりする雨
作者
大伴池主
出典
万葉集
前の歌
露霜にあへる黄葉を手折り来て 妹とかざしつ後は散るとも
次の歌
黄葉の過ぎまく惜しみ思ふどち 遊ぶ今夜は明けずもあらぬか