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妹が家の門田を見むとうち出で来し
心もしるく照る月夜かも

歌の意味
あなたの家の門前の田を見ようと出かけて来た私の心のかいがあって、明るく照っている月夜であることよ。
鑑賞
巻第八 秋雑歌 1596

詞書「大伴宿禰家持の娘子の門に到りて作る歌一首」
 恋しい娘の家の門前の田を見ようと出かけて来たが、その心のかいがあって、月が明るく照っていると詠む歌である。田を見るという口実で娘の家を訪れた作者が、明るい月夜を喜ぶ心が表されている。
 作者の大伴家持は、大伴旅人の子で、奈良時代の官人である。中納言に至り、万葉集の編纂に深く関わったとされ、集中最も多くの歌を残す。

 初句「妹が家の」は字余りで、恋しい娘の家のの意である。
 二句「門田を見むと」は、家の門前にある田を見ようとの意で、訪問の口実を示している。
 三句「うち出で来し」は字余りで、出かけて来たの意である。
 四句「心もしるく」は、心のかいがあっての意である。
 結句「照る月夜かも」は、詠嘆の「かも」で、明るく照る月夜への喜びを表す。本巻の第千四百五十二首の紀女郎の歌が、月夜にも来てくれない相手を待つ側から詠んだのに対し、この歌は月夜に訪ねる側から詠まれている。

かどた:家の門前にある田
つくよ:月夜、月の明るい夜
作者
大伴家持
出典
万葉集
前の歌
秋萩の枝もとををに置く露の 消なば消ぬとも色に出でめやも
次の歌
秋の野に咲ける秋萩秋風に 靡ける上に秋の露置けり