山彦の相響むまで妻恋ひに
鹿鳴く山辺に独りのみして
- 歌の意味
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山彦が響き合うほどに、妻を恋うて鹿の鳴く山辺に、私はただ一人でいて。
- 鑑賞
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巻第八 秋雑歌 1602
詞書「大伴宿禰家持の鹿鳴の歌二首」
山彦が響き合うほどに、妻を恋うて鹿の鳴く山辺に、ただ一人でいると詠む歌である。妻を呼ぶ鹿の声が山々にこだまする中、恋しい人と離れて独りでいる寂しさがいっそう身にしみている。左注に「右二首は、天平十五年(743)八月十六日に作る」とある。
作者の大伴家持は、大伴旅人の子で、奈良時代の官人である。中納言に至り、万葉集の編纂に深く関わったとされ、集中最も多くの歌を残す。
初句「山彦の」は、山に響くこだまである。本巻の第千四百九十七首も「山彦響め」と、山に響く鳥の声を詠んでいる。
二句「相響むまで」は、響き合うほどにの意で、鹿の声の大きさを示す。
三句「妻恋ひに」は、妻を恋い慕っての意である。
四句「鹿鳴く山辺に」は、鹿の鳴く山辺にの意である。三句と四句は本巻の第千六百首の石川広成の歌と同じ言葉である。
結句「独りのみして」は、ただ一人でいての意で、言いさしの形で結び、妻を呼ぶ鹿と独りの作者とを対比させて寂しさを余韻として残している。
やまびこ:山に響くこだま
- 作者
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大伴家持
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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めづらしき君が家なる花すすき 穂に出づる秋の過ぐらく惜しも
- 次の歌
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このころの朝明に聞けばあしひきの 山呼び響めさを鹿鳴くも