このころの朝明に聞けばあしひきの
山呼び響めさを鹿鳴くも
- 歌の意味
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このごろの明け方に耳を澄ますと、山を呼び響かせて雄鹿が鳴いていることだ。
- 鑑賞
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巻第八 秋雑歌 1603
詞書は前の歌に続き「大伴宿禰家持の鹿鳴の歌二首」
このごろの明け方に耳を澄ますと、雄鹿が山々に響き渡るほどの声で鳴いていると詠む歌である。夜明けの静けさの中に響く鹿の声が、秋の深まりを伝えている。左注により、天平十五年(743)八月十六日の作である。
作者の大伴家持は、大伴旅人の子で、奈良時代の官人である。中納言に至り、万葉集の編纂に深く関わったとされ、集中最も多くの歌を残す。
初句「このころの」は、このごろのの意で、毎朝のように聞こえることを示す。
二句「朝明に聞けば」は、明け方に聞くとの意である。
三句「あしひきの」は、「山」にかかる枕詞である。
四句「山呼び響め」は、山に呼びかけて響かせるの意で、鹿の声が山々にこだまするさまを描く。前歌の「山彦の相響むまで」を受けている。
結句「さを鹿鳴くも」は、詠嘆の「も」で、雄鹿の声への感動を表している。本巻の第千六百十一首の笠縫女王の歌も「山下響め鳴く鹿」と、山に響く鹿の声を詠んでいる。
あさけ:夜明け、明け方
さをしか:雄鹿、「さ」は接頭語
- 作者
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大伴家持
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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山彦の相響むまで妻恋ひに 鹿鳴く山辺に独りのみして
- 次の歌
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秋されば春日の山の黄葉見る 奈良の都の荒るらく惜しも