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秋萩の上に置きたる白露の
消かもしなまし恋ひつつあらずは

歌の意味
秋萩の上に置いた白露のように、いっそ消えてしまいたいものだ。こうして恋い続けているくらいならば。
鑑賞
巻第八 秋相聞 1608

詞書「弓削皇子の御歌一首」
 秋萩の上に置いた白露がはかなく消えるように、いっそ消えてしまいたい、このまま恋い続けて苦しむくらいならばと詠む歌である。露のはかなさに身を託し、逃れようのない恋の苦しさを激しい言葉で表している。
 作者の弓削皇子は天武天皇の皇子である。

 初句「秋萩の」は、露の置く秋萩を示す。
 二句「上に置きたる」は、存続の「たり」で、上に置いているの意である。
 三句「白露の」は、初句からここまでが「消」を導く序詞となっている。
 四句「消かもしなまし」は、疑問の「か」と反実仮想の「まし」で、いっそ消えてしまおうかと思い迷う心を表し、ここで句切れとなる。本巻の第千五百六十四首の日置長枝娘子の歌も「消ぬべくも我は思ほゆるかも」と、露の消えやすさに恋を重ねている。
 結句「恋ひつつあらずは」の「ずは」は、〜しているよりはの意で、恋い続けているくらいならと、倒置によって理由を最後に示している。

く:消える
作者
弓削皇子
出典
万葉集
前の歌
風をだに恋ふるは羨し風をだに 来むとし待たば何か嘆かむ
次の歌
宇陀の野の秋萩しのぎ鳴く鹿も 妻に恋ふらく我れにはまさじ