大の浦のその長浜に寄する波
ゆたけく君を思ふこのころ
- 歌の意味
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大の浦の長い浜辺に寄せる波のように、ゆったりとおおらかに、あなたのことを思っているこのごろである。
- 鑑賞
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巻第八 秋相聞 1615
詞書「天皇の賜ひ報へ和へたまふ御歌一首」
前歌の桜井王の歌に答え、大の浦の長い浜辺にゆったりと寄せる波のように、おおらかな心であなたを思っていると詠む御製である。桜井王の任地である遠江の浜辺の景を用い、臣下を思いやる天皇の心を大きな景色に託して表している。
題詞の「天皇」は聖武天皇とされる。作者の聖武天皇は文武天皇の皇子で、奈良時代の天皇である。仏教を厚く信仰し、東大寺の大仏を造立した。
なお原文には歌の末尾に「大の浦は遠江国の海浜の名なり」とする注記があり、歌の本文ではないため除いた。
初句「大の浦の」は字余りで、注記にあるとおり遠江国の海辺の地名である。
二句「その長浜に」は、その長く続く浜辺にの意である。
三句「寄する波」は、初句からここまでが「ゆたけく」を導く序詞となっている。前歌が雁という空の使いを詠んだのに対し、この歌は海の波で答え、空と海とが対をなしている。
四句「ゆたけく君を」は、ゆったりとおおらかにあなたをの意である。
結句「思ふこのころ」は体言止めで、このごろ思っていることを示し、臣下への変わらぬ心を表している。
ながはま:長く続く浜辺
おほのうら:遠江国の海辺の地名
- 作者
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聖武天皇
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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九月のその初雁の使にも 思ふ心は聞こえ来ぬかも
- 次の歌
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朝ごとに我が見る宿のなでしこの 花にも君はありこせぬかも