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朝ごとに我が見る宿のなでしこの
花にも君はありこせぬかも

歌の意味
毎朝私が眺める庭のなでしこの花に、あなたがなってくれないものだろうか。
鑑賞
巻第八 秋相聞 1616

詞書「笠女郎の大伴宿禰家持に贈る歌一首」
 毎朝眺める庭のなでしこの花に、恋しいあなたがなってくれないものかと願う歌である。なかなか逢えない相手を、毎朝見ることのできる花に変えたいという、ひたむきで可憐な恋心が表されている。
 作者の笠女郎は奈良時代の女性歌人で、大伴家持に贈った恋の歌が万葉集に多く収められている。

 初句「朝ごとに」は、毎朝の意で、欠かさず眺める習慣を示す。
 二句「我が見る宿の」は、私が眺める庭のの意である。
 三句「なでしこの」は、淡紅色の可憐な花である。
 四句「花にも君は」は、花にでもあなたはの意である。本巻の第千四百四十八首の大伴家持の歌は、なでしこの花を恋人になぞらえて見ようと詠んでおり、同じなでしこに恋人を見る心が、男の側と女の側から詠まれている。
 結句「ありこせぬかも」は、希望の「こす」の打消に「かも」を添えた願望の表現で、なってくれないものだろうかと願っている。

なでしこ:淡紅色の花をつける草、秋の七草の一つ
作者
笠女郎
出典
万葉集
前の歌
大の浦のその長浜に寄する波 ゆたけく君を思ふこのころ
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秋萩に置きたる露の風吹きて 落つる涙は留めかねつも