秋萩に置きたる露の風吹きて
落つる涙は留めかねつも
- 歌の意味
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秋萩に置いた露が風に吹かれてこぼれ落ちるように、流れ落ちる私の涙は、とどめようにもとどめられない。
- 鑑賞
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巻第八 秋相聞 1617
詞書「山口女王の大伴宿禰家持に贈る歌一首」
秋萩に置いた露が風に吹かれてこぼれ落ちるように、恋しさのために流れる涙をとどめることができないと詠む歌である。露が散るさまに涙を重ねる美しい比喩によって、抑えきれない恋の悲しみが表されている。
作者の山口女王は、大伴家持に歌を贈った女性皇族で、伝は未詳である。
初句「秋萩に」は、露の置く秋萩を示す。
二句「置きたる露の」は、存続の「たり」で、置いている露のの意である。
三句「風吹きて」は、初句からここまでが「落つる」を導く序詞となっている。風に散る露に、こぼれる涙を重ねている。
四句「落つる涙は」は、こぼれ落ちる涙はの意である。本巻の第千五百九十五首の大伴像見の歌も、萩に置く露を恋の比喩に用いており、萩の露に恋を託す歌が秋の巻に連なっている。
結句「留めかねつも」は、完了の「つ」と詠嘆の「も」で、とどめることができないと嘆いている。
つゆ:草木に置く水滴、はかないもののたとえ
- 作者
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山口女王
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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朝ごとに我が見る宿のなでしこの 花にも君はありこせぬかも
- 次の歌
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玉に貫き消たず賜らむ秋萩の 末わくらばに置ける白露