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我が宿の秋の萩咲く夕影に
今も見てしか妹が姿を

歌の意味
我が家の庭に秋の萩が咲いているこの夕方の光の中で、今すぐにでも見たいものだ、妹の姿を。
鑑賞
巻第八 秋相聞 1622

詞書「大伴田村大嬢の妹坂上大嬢に与ふる歌二首」
 我が家の庭に秋の萩が咲く夕方の光の中で、今すぐにでも妹の姿を見たいと願う歌である。美しい夕景の中に、会いたい人の姿を思い描く心が表されている。姉妹の親しい情を、恋の歌の形で詠んでいる。
 作者の大伴田村大嬢は、大伴宿奈麻呂の娘で、坂上大嬢の異母姉にあたる。田村の里に住んだことからこの名で呼ばれる。

 初句「我が宿の」は、自分の家の庭を示す。前歌の第千六百二十一首も「我が宿の萩花咲けり」と、同じく庭の萩を詠んでいる。
 二句「秋の萩咲く」は、秋の萩が咲いているの意である。
 三句「夕影に」は、夕方の光の中にの意である。
 四句「今も見てしか」は、願望の「てしか」で、今すぐにでも見たいと願い、ここで句切れとなる。
 結句「妹が姿を」は、倒置によって見たいものを最後に示し、妹への思いを強めている。

ゆふかげ:夕方の光、夕日の光
作者
大伴田村大嬢
出典
万葉集
前の歌
我が宿の萩花咲けり見に来ませ いま二日だみあらば散りなむ
次の歌
我が宿にもみつ蝦手見るごとに 妹を懸けつつ恋ひぬ日はなし