古典和歌stream

我妹子が業と作れる秋の田の
早稲穂のかづら見れど飽かぬかも

歌の意味
あなたが田仕事として手がけた秋の田の、早稲の穂で作った髪飾りは、いくら見ても見飽きることがない。
鑑賞
巻第八 秋相聞 1625

詞書「大伴宿禰家持の報へ贈る歌一首」
 前歌の坂上大嬢の贈り物に答え、あなたが田仕事として手がけた早稲の穂の髪飾りは、いくら見ても見飽きることがないと詠む歌である。贈られた髪飾りをたたえることで、贈り主への愛情と感謝を表している。左注により、天平十一年(739)秋九月の贈答である。
 作者の大伴家持は、大伴旅人の子で、奈良時代の官人である。中納言に至り、万葉集の編纂に深く関わったとされ、集中最も多くの歌を残す。

 初句「我妹子が」は、恋しい女性、ここでは坂上大嬢を指す。
 二句「業と作れる」は、田仕事として手がけたの意である。前歌の「我が蒔ける」を受けている。
 三句「秋の田の」は、稲の実る秋の田である。
 四句「早稲穂のかづら」は、前歌の「早稲田の穂立」で作った「かづら」を受けている。
 結句「見れど飽かぬかも」は、逆接の「ど」と詠嘆の「かも」で、いくら見ても見飽きないと、贈り物への喜びを表している。前歌の「見つつ偲はせ」という願いに、見飽きないと答えている。

なり:生業、田の仕事
わさほ:早稲の穂
作者
大伴家持
出典
万葉集
前の歌
我が蒔ける早稲田の穂立作りたる かづらぞ見つつ偲はせ我が背
次の歌
秋風の寒きこのころ下に着む 妹が形見とかつも偲はむ