我が宿の萩の下葉は秋風も
いまだ吹かねばかくぞもみてる
- 歌の意味
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我が家の庭の萩の下葉は、秋風もまだ吹かないのに、このように色づいている。
- 鑑賞
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巻第八 秋相聞 1628
詞書は前の歌に続き「大伴宿禰家持の非時の藤の花并せて萩の黄葉の二つの物を攀ぢて坂上大嬢に贈る歌二首」
秋風もまだ吹かない夏のうちに、庭の萩の下葉がこのように色づいていると、色づいた萩の葉を贈って詠む歌である。季節に先立って色づいた葉に、季節を待たずにつのる恋心を重ねたものとも解される。左注により、天平十二年(740)夏六月の贈答である。
作者の大伴家持は、大伴旅人の子で、奈良時代の官人である。中納言に至り、万葉集の編纂に深く関わったとされ、集中最も多くの歌を残す。歌を贈った坂上大嬢は、大伴坂上郎女の娘で家持のいとこにあたり、のちに家持の妻となった。
初句「我が宿の」は、前歌の初句を受け、同じ庭を示す。
二句「萩の下葉は」は、萩の下のほうの葉で、秋になると最初に色づく所である。本巻の第千五百七十五首も「萩の下葉はもみちぬるかも」と、秋の雁の声とともに色づく萩の下葉を詠んでいる。
三句「秋風も」は、萩を色づかせるとされた秋風である。
四句「いまだ吹かねば」の「ねば」は、ここでは〜ないのにという逆接の意である。
結句「かくぞもみてる」は、係助詞「ぞ」を受けて存続の「り」の連体形「る」で結ぶ係り結びで、このように色づいていると、贈った葉を示して強調している。
したば:草木の下のほうの葉
もみつ:木の葉が色づく
- 作者
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大伴家持
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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我が宿の時じき藤のめづらしく 今も見てしか妹が笑まひを
- 次の歌
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高円の野辺のかほ花面影に 見えつつ妹は忘れかねつも